前回は、干しシイタケ<種類と歴史編> についてご紹介しました。引き続き、干しシイタケの<効果と保存>を中心にご紹介します。
干しシイタケの効果
乾燥させることで、栄養素がギュっと凝縮され、旨味や香りやが生まれて、私たちのからだに良い効果をもたらしてくれます。
免疫力アップ
β-グルカン(多糖類※)の一種であるレンチナンには、免疫力(外敵から体を守る力)の指標となるリンパ球の活性化する作用があり、風邪などウイルス性の病気に対する抵抗力がつくだけでなく、抗腫瘍効果もあることが分かっているので、医薬品業界でも抗がん剤の成分として注目を浴びています。また、最近の研究ではエイズウイルスを抑える作用があることもわかってきているようです。
※ 多糖類・・・糖がたくさんつながっている状態。でんぷんやセルロース、β‐グルカンなどが含まれる。β‐グルカンは、主にきのこ類に多く含まれ、強い抗がん作用を持つことが知られている。
生活習慣病予防
シイタケとマッシュルームにしか含まれていない栄養成分にエリダデニンがあります。エリタデニンには、血圧調整作用や血中コレステロールの排泄する効果があるので、高血圧症や動脈硬化などの生活習慣病の予防が期待出来ます。
マッシュルームに含まれるエリタデニンの量はシイタケの100分の1程度なので、シイタケ特有の成分といってよいでしょう。また、豊富に含まれるカリウムにも血圧を下げる作用があることが知られています。
骨粗しょう症予防
カルシウムの吸収率を高める働きがあるビタミンDは、生シイタケの約9倍も含まれているので、丈夫な骨作りと骨粗鬆症予防に効果が期待出来ます。また、日光に当てることでビタミンDに変化するエルゴステロールも含まれているので、調理する前に日光に当てれば、その効果は倍増します。
女性の強い見方! 美容効果もあり
生シイタケの10倍も含まれている食物繊維には、エネルギーの過剰摂取予防や便秘解消などの効果があるので、ダイエットにはおすすめの食材です。また、不足すると肌荒れの原因にもなるビタミンB2が含まれているので、お肌にもよいといわれています。カサカサ肌の干しシイタケですが、美しいお肌を保つためにも必要なのですね!
そのほか、味覚を正常に保つために必要な栄養素である亜鉛やカラダのすみずみに酸素や栄養素を運ぶ働きのある鉄、疲労回復効果のあるビタミンB1など、さまざまな栄養素が含まれています。
干しシイタケを上手に摂ろう!
選び方
・よく乾き、肉厚
・ヒダが黄白色
・かさが欠けていない
干しシイタケのつくり方
スーパーで大量にシイタケを買ってしまった。秋になるとシイタケをたくさんもらって処理に困る…
こんな経験はありませんか?そんな時は、ご家庭で簡単に干しシイタケを作ってみましょう。
1. 適当な大きさにスライスする(そのままでは乾燥しにくい)
2.重ならないように網やざるの上に並べる
3.天気の良い日に干す
4.半日で乾燥するが、乾燥しきれなかったら夜は通気性のよい部屋で干し、翌日また外に干す
5.密封容器に乾燥剤をいれて保管
※使うときは、市販のものと同様に水でもどして使ってください。
保存方法
密封容器でしっかりガード
虫がつきやすいので、軽く締めたビニール袋などに入れて置いておくのは心配です。密封容器に乾燥剤を入れて保存しましょう。
もどしても冷蔵庫で1週間
もどした状態の干しシイタケも、もどし水につけたまま密封容器に入れて冷蔵庫に入れておくと、1週間程度は保存できます。
おいしいもどし方
干しシイタケをもどすのは少し面倒だわ・・・と思っている方も多いと思いますが、もどし方一つで、シイタケのおいしさは大きく変わるのです。
①水で戻す前にほんの15~20分間だけ、日光に当てましょう!ビタミンDの量がなんと100倍にも増えるそうです。
②水につけて冷蔵庫の中でじっくりが基本
※肉薄のものは数時間、肉厚のものは1日程度です。冷水に長時間つけることによって、酵素が活発に働いて、旨味のもととなるグアニル酸が増加します。
③もどし汁も有効に活用しましょう。もどし汁には、高血圧症に効果があるといわれているので、煮物やスープのだしとして利用しましょう。じっくり乾燥させて、おいしさがギュッと詰まった干しシイタケだからこそ、手間をかけて調理すれば、そのおいしさを存分に味わうことができます。
そうはいっても、時間がない!でも、干しシイタケの風味は活かしたい・・・そんな時は粉末シイタケがおすすめ!作り方はカンタン!干しシイタケをフードプロセッサーにかけて粉末にするだけ。
※煮物やお味噌汁、スープなどの調味料としてだけでなく、お湯に溶かして飲んだり、ハンバーグなどに混ぜ込めば、干しシイタケの栄養素をたっぷり取り込むことができますよ。
保存がきくので、多めに作っていろんな料理に活用しましょう!干し椎茸で健康なカラダづくりを目指そう。
参考資料
健康食百科/主婦の友社
からだによく効く食べもの事典/池田書店
そだててあそぼう シイタケの絵本/農山漁村文化協会