血液を勉強しよう Part4

からだ
血液を勉強しよう

前回に引き続き、「血液を勉強しよう Part4」をお届けします。

体を守る白血球

感染症の原因となる病原体やがん細胞などから体を守る「免疫」としての役割を担っています。
大まかに5つの種類があり、それによって役割がさらに分けられます。

血液1μLあたり
数:成⼈ 3500〜9500個/μL

大きさや寿命は種類によって異なります。以下に、それぞれの種類の特徴を挙げます。

種類特徴


好中球
好中球
大きさ:11〜17μm程度
寿命:約10時間
働き:白血球の中で⼀番数が多く40〜60%を占める。
細菌などに感染すると、感染した炎症部位に集まり、細菌を貪食殺菌する。
好酸球
好酸球
大きさ:13〜18μm程度
寿命:好中球より少し長い
働き:アレルギー反応に関係する。また、寄生虫感染から身体を守る働きをする。
好塩基球
好塩基球
大きさ:12〜16μm程度
寿命:詳細はわかっていない
働き:白血球の中で⼀番数が少ない。様々な炎症反応(特にアレルギー反応)に関与している。
単球
単球
大きさ:13〜22μm程度
寿命:1日〜数日
働き:細菌などの異物を捕食。リンパ球に抗体の特徴を伝える。組織内に入るとマクロファージへと変化。
リンパ球
リンパ球
大きさ:8〜16μm
寿命:数日〜数年
働き:白血球のうち20〜40%ほどを占める。抗体をつくりがん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃。

膿や色のついた鼻水は白血球の死骸

撃退する男の子

白血球は細菌やウイルスなどの外敵が体内に侵入した際、それらを対処するために集合し、自分の中に取り込んで殺してしまいます。
ケガをした時に傷口から出てくる膿や、黄色・緑色の色がついた鼻水は、白血球の死骸です。私たちの体内の白血球が、外敵と戦ってくれた証拠なのです。

白血球の数が増えるとき

血液中の白血球の数が10000個/μL以上を示したときに異常高値と判定されます。
そのほとんどは、細菌感染などで好中球が増えたときに起こります。
そのほかには、ケガや⼿術などで出血があったときやアレルギー症状や関節リウマチなどで炎症反応があるとき、白血病などの血液のがんのときに増える傾向にあります。

白血球が減るとき

血液中の白血球の数が3500個/μL以下の状態で、低値と判定されます。
細菌性の感染症では増加しますが、風邪などのウイルス感染の場合は一時的に低下することもあります。

ウイルス撃退

そのほか、悪性貧血、白血病などの血液疾患や骨髄系に影響を及ぼす薬の副作用などでも減少します。

血を止める〜血小板〜

血液の中で最も小さく少ない細胞です。血管が損傷した時に傷口をふさぎ、出血を止める作用を持っています。
●大きさ:2~4μm (μm=1,000,000分の1)
●数:15~40万個/μL
●形:円から楕円形
●寿命:10日程度(骨髄で作られ脾臓で破壊)

血液が固まるわけ

怪我などで出血しても、血液がいつまでも漏れ続けることは普通はありません。
私たちの体には、大事な血液をできる限り失わないように短時間で固まるという精巧な仕組みが備わっています。

血小板

この血液を固めるしくみを「止血機構」といい、血小板が大きな役割を果たしているのです。
この仕組みには三段階あります。

① ⼀次止血
傷ついた血管の壁に血小板が集まり、傷口を塞ぎます。
通常血小板の表面は滑らかな形をしていますが、出血が起こると多数の突起が出てきてコンペイトウのような形になります。

② ⼆次止血
血液中には、血小板の他にも血を固める物質(フィブリノーゲンなど)が存在しています。
これらは出血によって活性化され、凝集した血小板を固めて、より強固な血栓を形成します。

③修復作用
止血で作られた血栓の除去と血管壁の修復を行ないます。
血液の流れが元通りになると、止血機構は完了です。
傷が乾燥してできる「かさぶた」は、血小板に捕われた血球成分の塊です。

止血機構

血小板の量が少ないとどーなる?

鼻血男の子

十分な量の血小板がないと血が止まりにくくなるので、皮膚にあざができやすくなり、歯肉から出血するなどの症状がでます。
逆に血小板が多く存在すると、血液が固まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患の原因となります。