肝臓 <病気編>

からだ
肝臓

前回に引き続き、肝臓についてお届けします。

肝臓病の種類

肝臓病の原因といえば「アルコール」と考えがちですが、実は日本で最も多い肝臓病は「肝炎ウイルス」によるものです。その他に、薬剤性、自己免疫性などによる肝炎があります。

【A型肝炎】

飲食物を介して感染し、風邪のような症状で始まって発熱・倦怠感が続く。特に衛生状態の悪い地域で感染するケースが多い。通常2~3ヶ月で治り慢性化しない。

【B型肝炎】

血液を介して感染。出産による母子感染が多い。一過性の場合は、再感染することはないが、持続性の場合は、約10%の人が慢性化すると言われている。

【C型肝炎】

輸血や血液製剤など血液を介して感染。感染力が弱く症状も軽いため、発見が遅れることも多い。慢性化しやすく、数十年かけて肝硬変へと移行し、肝がんを合併することもある。

【アルコール性肝炎】

ビール

大量のアルコールを長期間飲み続けることで肝炎・脂肪肝・肝硬変などの障害が起こる。治療には、飲酒を制限することが最も重要。※脂肪肝は栄養過多でも起こる。

【自己免疫性肝炎】

自己免疫疾患

自分自身の免疫が、肝臓の細胞を攻撃することで起こる。薬剤の服用やウイルス感染などが原因と考えられている。慢性肝炎に移行することが多い。

【薬剤性肝炎】

薬剤性肝炎

薬が体内に入ることで一種のアレルギー反応によって肝臓に障害が起こる。一般的には発熱・かゆみ・黄疸が特徴。
※黄疸…血液中のビリルビンという色素が増加し、皮膚や白目が黄色に染まる状態

【脂肪肝】

脂肪肝

食べ過ぎや運動不足、飲酒等により、中性脂肪が肝臓に多く蓄積された状態のこと。お酒をほとんど飲まない人の脂肪肝は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれ、メタボリックシンドロームの肝臓病であると言われています。

肝臓と薬

私たちが薬を飲むと、大部分は腸で吸収されて肝臓へ運ばれます。その後、一部は肝臓の酵素によって分解され、残りの成分が血液に乗って身体の様々な場所で薬としての効果を発揮します。
役割を果たした薬は再び血液に乗って肝臓へたどり着いて分解され、尿や便とともに体外へ排出されます。薬をたくさん飲むと良く効きそうな気がしますが、むしろ肝臓の仕事を増やしてかえって負担をかけることになります。
また、飲む人の体質や体調などによって思わぬ副作用が起こることがあります。

病院でもらう処方せんや薬の取扱説明書には、効用と一緒に副作用も書かれています。メリット・デメリット両方をきちんと把握し、薬を飲むようにしましょう。


次回も引き続き、「肝臓<対策編>」をお届けします。