微生物と発酵<微生物編>

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前回に引き続き、微生物と発酵<微生物編>をお届けします。

微生物ってどんな生き物?

人間の誕生よりもはるか以前から地球に住んでいる、目に見えない小さな微生物(細菌やカビ、酵母など)は、様々な環境に適応する能力が極めて高く、自ら繁殖のために、あらゆる環境下で、エネルギー源を求めて物質を分解・発酵することでエネルギーを得ています。

微生物の特徴

①種類が多様であること。
②体が小さいこと。
③体の小さい微生物の代謝活性は高い。
④増殖スピードが速い。

生物の呼吸活性

生物には「大きさと代謝活性の反比例の法則」が成り立つと言われています。
左記は動物及び微生物の細胞について、重量を同じにしたとき、呼吸によって1時間にどれだけの酸素を吸収するかを示した表です。
表を見てお分かりのとおり、活発な哺乳動物の心臓に比べて、カビは2~10倍、細菌の大腸菌は20~60倍も呼吸活性が高く、たくさんのエネルギーを製造します。
体の小さな微生物ほど代謝活性は高く、増殖速度は速いので、たくさんのエネルギーを製造することが出来るということになります。


生物の呼吸活性(μlO2/mg乾物重/時間)

カエル 0.15
マウス疾走時20
哺乳動物網膜31
皮膚0.8
心臓5
肝臓12
微生物ラン藻1~10
カビ10~50
酵母50~100
大腸菌(細菌)100~300
酢酸菌(細菌)約1,000

発酵の特徴

保存性が良くなる
拮抗作用(ある微生物が他の菌の繁殖を抑えてその微生物のみが増えるという現象)によって腐敗菌の増殖が抑えられるので、保存性が良くなる。

栄養価が上がる
微生物の分解と発酵作用の過程で生産される酵素の作用が多種類の栄養成分を生み出し、菌体外に分泌するため、元の食品より栄養価が上がります。

特の香りや旨味が生まれる
微生物たちが発酵を行なうことで独特の香りが生まれます。また、たんぱく質が分解酵素によって分解発酵されると、旨味を増す物質であるアミノ酸、核酸などが生成されます。

発酵食品と日本人

微生物の働きにより、独特の香りやうまみが生まれる、パンや漬物、納豆、味噌、醤油、ビールなど発酵食品のうまみや匂いを日常の食生活に取り入れ、味わい深い料理がたくさんあります。

食事

味噌や醤油
『しょうゆ讃歌』というエッセイ集の中で、椎名誠氏が「世界のどの国に行っても醤油さえあれば今やぼくは無敵なのである。」と書かれています。
というのも、男4人でアンデス山脈の麓のルートを旅した時、日本料理が恋しくなり皆で食べたいものを叫んだというのです。
そしてそれは、餃子・納豆・カツ丼・鉄火丼・・・などすべて醤油もしくは味噌味が基調のものだったそうで、その時、日本人はどこへ行ってもアミノ酸文化の味覚から逃れられない食生活の中に生存していることが分かったそうです。
確かに私達はなんでもすぐに日本の味付け(和風化の味の基本は醤油・味噌などのアミノ酸)にしてしまいますよね。
このように日本人と発酵食品とは、切っても切れない強い絆があるのです。


2回にわたり「微生物と発酵」をお届けいたしましたが、いかがでしたでしょうか?
日常的に私たちの食卓の中にも微生物が発酵させてくれた食品があふれている事を再認識していただけたかと思います。発酵に感謝ですね。



<参考文献>
『発酵食品が効くレシピ94』(監修:小泉武夫)
『土壌微生物の基礎知識』(著:西尾道徳)
『しょうゆ讃歌』(しょうゆ情報センター)