前回は、心と免疫<健康と免疫編>をお届けしました。今回は、<ストレス編>と題して、精神面を中心にお届けいたします。
病は気からは本当か?
『やさしい免疫の話』(村山知博著)の一説にこのような話があります。
大阪大学医学部の森本教授は精神的なストレスが免疫(NK活性)にどれだけ影響を与えているかを調べる実験をされました。NK活性とは、免疫を担うリンパ球の一種である「NK(ナチュラルキラー)細胞」の活性度。
この活性度が高いほど、免疫力は強く病気になりにくいと考えられます。
NK活性実験
阪神大震災で大災害に見舞われた被災者のストレスを調査。
■実験方法
①被験者の精神状態をアンケート
②被験者の血液から取り出したNK細胞を取り出し、がん細胞と一緒に培養
③一定時間後、NK細胞がどれだけがん細胞を破壊するかを測定
がん細胞が多く破壊されるほど、NK細胞は活発に働いている
■結果
○精神は安定していると回答した人:NK活性は40%
○精神は不安定だと回答した人 :NK活性は20%
その結果、精神的にストレスのある人は免疫力(NK活性)が弱くなる。
NK細胞は免疫の通常部隊の一員として常に最前線をパトロール「生まれつきの殺し屋」(ナチュラル・キラー)というだけあって、異常な細胞(ウイルス感染細胞やがん細胞)を見つけて殺し、病気の芽をつみとる
↓
その働きがにぶくなるとウイルス感染細胞やがん細胞を排除できない
↓
病気になりやすい
このように、私達の心(意識)は身体が本来持っている自己防衛機能である「免疫力」にたいへん強い影響を与えます。
ストレスと脳の酸素欠乏
ストレスは免疫力を低下させる以外にも脳が酸素欠乏になる一つの原因として挙げられます。
脳はストレスというネガティブな感情を考え込み、持ち続けることによって非常に多くの酸素を消費してしまうと思われます。そのため、当社では腹式呼吸の中でも臍下丹田呼吸法(せいかたんでんこきゅうほう)をお勧めしています。
心と身体は表裏一体です。身体が安定すれば心も安定します。臍下丹田を意識して活性化するにより免疫力を高め、そして腹が据わることが出来て心が強くなるそうです。
「病は気から」というように、身体のバランスをとって、気力と体力を養うことでストレスに強い心(精神)をつくることが出来るのでしょう。
精神免疫学
心の状態が健康にどう影響するのかを調べるのが、精神免疫学という学問です。
ひと言で言うと、ストレスが多いと病気になりやすいと言えるそうです。
今までは万物を「ココロ」と「モノ」に分けてしまい、「生命」としてではなく「物質」として捉えてきました。しかし、近年になってストレスという心の葛藤が免疫系の機能にとても関係が深いことが分かってきました。
今後はますます「精神免疫学」の研究が行なわれていくでしょう。心、元気で病気予防!
無意識に守ってくれる細胞
私達の周りにはウイルスや雑菌がウヨウヨいるのに、免疫によって守られています。また、食事を摂ったあとは、身体が勝手に食物を消化・分解・吸収してくれます。私という存在を生かすために、私達の細胞は必死に働いてくれているのです。
そう考えると、私達は生きているというだけで、充分スゴイことだと気づきますよね。
気持ちの切り替えで心も元気
毎日の生活の中で、仕事での人間関係によるストレス、家庭でのもめごとなど人生は自分の思い通りにならないことが多いと言えます。
そんな時、なぜ私だけ?なぜこんなことに?などと思い込んでしまいますよね。
生きているということは動いているということです。動いているから嬉しいことや悲しいことが起きてくるのです。 だから、ツライこと、イヤなことがあっても、それに凝り固まらず気持ちを切り替えて生きていきましょう。
そのような心を持ち続けていると、心に栄養を与えて元気な状態にしてあげることが可能になり、私達の免疫力を高めて病気を予防することにつながるのではないでしょうか。
言葉で書くのは簡単ですが、それを実践することは難しいものです。何が起きても動じず、上手な気持ちの切り替えが出来るように努力したいと思います。