ヨーグルト<前編>

たべもの
ヨーグルトと発酵

冷蔵庫には必ず入っているご家庭も多い「ヨーグルト」について、ご紹介します。

ヨーグルトとは

ヨーグルト

牛乳に乳酸菌を加え発酵させたもので、正式には発酵乳と呼びます。 これには1mlあたり1000万個以上の乳酸菌(目に見えないくらい小さな微生物)が存在しています。
私たちのおなかの中には、乳酸菌をはじめとするたくさんの腸内細菌が住んでいて、重さにすると1kgにもなると言われています。なかでも乳酸菌は、からだにとってよい働きをしてくれる「善玉菌」の一種です。おなかの中で乳酸や酢酸を作って、有害な菌である「悪玉菌」の増殖を抑えてくれます。

ヨーグルトの種類

・プレーンタイプ
牛乳に乳酸菌を加えただけのもの。
・ハードタイプ
プリン状に固めたもの。日本でいちばん古くから親しまれている。
・ドリンクタイプ
発酵後に固まったヨーグルトを混ぜて液状にしたもの。
・フローズンタイプ
発酵したヨーグルトを混ぜながら凍結したもの。乳酸菌は休眠状態で生きている。

ヨーグルトの歴史

ヨーグルトの発掘者 ~E.メチニコフ~

その健康効果が世界に広まったのは20世紀はじめのころ。ロシアの生物学者 メチニコフの老化に関する論文がきっかけでした。彼は、ブルガリア地方には100歳を超える長寿の人が多いことを知り、彼らが常食していた「ヨーグルト」に着目。そして、ヨーグルトを食べれば乳酸菌の一種ブルガリア菌が腸内で増えて、腐敗菌の増殖を抑えて老化が防げると発表したところ、「不老長寿の妙薬」として注目されるようになったのでした。

日本の歴史

・奈良時代 当時のヨーグルトは「酪」と呼ばれていた。日本最古の医学書 「医心方」 には“疲労回復、便秘解消、肌にぬればつやつやになる”と記されていた。 しかし、食べることができたのは貴族のみだった。
・平安末期以降
牛があまり飼育されていなかったため、ほとんど作られていなかった。
・明治時代
文明開化以降「凝乳」として庶民にも売られるようになる。
・戦後
栄養が豊富な食品として定着する。果肉入りやプレーンヨーグルト、ドリンク、フローズンなどさまざまなかたちで販売されている。

ヨーグルトのすぐれたパワー

いまではヨーグルトは私たちの生活に密着していて、「健康のために」と食べている方も多いと思います。ではヨーグルトはなぜからだによいのでしょう。その理由は2つあります。それは、完全栄養食と言われている牛乳の栄養素がバランスよく含まれていることと乳酸菌や乳酸発酵で作られた物質にさまざまな効果があることです。

ヨーグルト説明

牛乳

ヨーグルトの原材料の中でもっとも多く含まれているのは、生乳つまり牛乳です。牛乳は、完全栄養食品といわれるくらい優れた食品です。良質のタンパク質やビタミン、カルシウムなど多くの栄養素を含んでいます。また、乳糖(ラクトース)と呼ばれる栄養素は、腸内のビフィズス菌を増やし、病原菌からからだを守ってくれます。ヨーグルトは、これらの栄養成分がさらに吸収しやすい形に変わっているので赤ちゃんから高齢の方、病気の方まで幅広く食べることができます。

乳酸菌

乳酸菌とは、牛乳に含まれる乳糖をエサにして乳酸や酢酸を作り出す微生物です。これらの酸は腸を刺激するので、便秘予防効果があります。また、乳酸菌そのものにも、さまざまな素晴しい働きがあります。

有機酸をつくる(乳酸・酢酸)

・蠕動(ぜんどう)運動を高め、便秘の予防。
・消化吸収を高めて腸内のバランスを調整。

腸内のビフィズス菌を増やす

・腸内の善玉菌が優勢になることで、病気の原因となる悪玉菌の増殖を抑える。

有害物質を吸着する

・悪玉菌が作り出す有害物質を吸着して、排出する。

免疫機構を刺激する

・免疫力を高める作用があるので、抵抗力がついて病気になりにくくなる。



このように乳酸菌のさまざまな働きが私たちを「健康」にしてくれているのですが、実は腸に届くまでにその多くは死んでしまいます。でも、乳酸発酵生成物や菌体そのものがからだにとって有効なので、死んでいてもその効果は失われず残っています。


次回はヨーグルト<後編>をお届けします。