前編に引き続き、カビについてご紹介します。
カビが及ぼす健康被害
感染病に直結する細菌やウイルスと違い、カビはそれ程心配しなくてもいいいと侮っていませんか?
役に立つカビもあるけれど、怖いカビもたくさんあるのです。
それでは、カビが引き起こす思わぬ病気について見てみましょう。
「真菌感染症(真菌症)」
真菌症には、カビが皮膚から侵入するもの(水虫、オムツかぶれなど)と、呼吸などで体内に侵入するもの(肺に病変を作るアスペルギルス症、脳や中枢神経にまでとりつくクリプトコッカス症など)があります。
健康であれば感染することはないのですが、薬などの影響で体の抵抗力が弱まるとかかりやすくなります。
※特に、乳幼児や体力が落ちているお年寄りのいる家庭では注意が必要です。
「真菌アレルギー症」
アレルギーを起こす原因物質はアレルゲンと呼ばれますが、最近では空中に漂うカビの胞子などがアレルゲンとなって、アレルギー性疾患になる人が増えています。
★アレルギー性喘息
子供の喘息のアレルゲンの第1位はダニ、第2位がカビです。
★アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の人には、カビやダニでも大きな刺激となるのです。
★夏過敏性肺炎
軽い咳、たん、微熱から始まり徐々に激しくなり、息切れが加わります。日本では年に数百人~千数百人がかかっていると推定されています。
「シックハウス症候群」
建物や家具に発生したカビなどが原因でなることもある。主な症状は倦怠感や頭痛、めまいなど
「食中毒、ガン」
カビは食品に生えるとカビ毒を作り出します。カビ毒と呼ばれるものは300種類以上もあり食中毒を起こすもの、強い毒性を示すもの、さらには発ガン性をもつカビ毒まであるのです。南アフリカでは、カビ毒に汚染されたトウモロコシを多く食べている人は食道ガンの発生率が高い、という報告があります。
カビを発生させないためには?
「栄養」「空気」「温度」「湿度」 このどれか一つでも抑える事ができれば、カビの発生はかなり阻止できます。といっても栄養はどこにでもあるし、酸素は人にとっても大切です。温度は10℃がカビの生育を抑えますが、ちょっと寒いですよね。
湿度は多くのカビが65%以下では発育できません。人が快適に感じる湿度は40~65%なので、50%の湿度を保つことが最も良い方法と言えるでしょう。
そこで・・・
対策1:換気
風の入り口を狭く、出口を広くすると風通しがよくなります。ただし、雨の日は余計に湿気を呼び込んでしまうので、換気は晴れた日の昼間に行いましょう。
対策2:除湿
エアコンのドライ機能や、除湿器を使って部屋の湿気を取り除きましょう。ただし、これらはカビの格好の繁殖場所でもあります。1ヶ月に1回はフィルター掃除をしましょう。
対策3:掃除
丁寧かつこまめに掃除をして、部屋を清潔に保ちましょう。
梅雨になると、部屋の中に洗濯物を干す機会が増えてきます。すると、どうしても湿度が高くなり、カビが生えやすくなります。室内に洗濯物を干すときには、除湿器やエアコンをつけるか、風通しをよくして少しでも湿気をためないようにしましょう。
押し入れの中は湿気がこもりやすいもの。でもなかなか換気もできません。
そこで、新聞紙を筒状に丸めて、それにストッキングをかぶせて布団と布団の間に入れてみましょう。これだけで、ずいぶん押し入れの通気をよくすることができますよ。
小さいカビならすぐ掃除できますが、中まで入り込んでしまったカビは専門の業者に頼むしかありません。そうなる前に、こまめに部屋の湿度をチェックしてカビを防ぎましょう!