受験勉強や仕事、夜遊びなどで日本人の睡眠時間は年々減少しています。また、様々な原因で不眠症に悩まれている方も大勢いらっしゃいます。睡眠中はすべての活動が休止しているようにみえるかもしれませんが、夢が記憶に関係しているのではないかといわれていますし、睡眠中につくられるホルモンもあります。睡眠の重要性を知り、上手に眠って健康と長生きを確保しましょう。
睡眠とは
睡眠は大脳を休ませるためのもので、ノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があり、ノンレム睡眠の中でも浅い睡眠と深い睡眠に分かれます。人が眠りにつくとまずノンレム睡眠があらわれ、徐々に眠りが深くなり、続いてレム睡眠が出てきます。
この2つのサイクルが4~5回繰り返されて目が覚めます。深い睡眠は睡眠の前半に多く、レム睡眠は後半に多くなります。深い睡眠とレム睡眠は年齢とともに少なくなります。
レム睡眠
目がきょろきょろとすばやく動くとき夢を見ます。脳波はシータ波となり、筋肉の弛緩、心拍数の増加などがみられます。レム睡眠中におこると考えられるようになってきた、短期記憶が長期記憶に転化することを「記憶の固定化」といいます。
記憶にはある一定の期間しか覚えていない短期記憶と、一生残るような長期記憶があります。これは、新しいシナプスの形成や既存のシナプスの変化などの関係があります。
したがって、昼間に見たり・聞いたり・触れたりしたことが多ければ多いほど、レム睡眠も増加します。覚えることが多い生まれてすぐの新生児は、睡眠の約半分がレム睡眠です。
ノンレム睡眠
この睡眠のとき眼球は上転して、まぶたを開けてみると白目をむいています。ノンレム睡眠でも夢を見ることはありますが、レム睡眠のときほどはっきりした夢ではありません。脳波はデルタ波となり、寝返りを打ったり、いびきをかいたりするほか、呼吸が止まってしまうこともあります。
これは眠りが深いためで、普通の人でも一晩に2~3回はおきているそうです。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)
2003年に起きた山陽新幹線で居眠りした運転士のSASは記憶に残っているかと思います。これは、睡眠中に呼吸停止が頻発して眠りが浅く、日中に眠気が消えない睡眠障害の一種です。この運転士は、
①SASの目安である「1時間20回の呼吸停止」を大きく上回り、40回以上呼吸が止まった
②血中酸素濃度が健常者の96~97%に対して75%以下で極めて低い
ことなどから「重症のSAS」と診断されたそうです。
※SAS「肥満に起因する重度の睡眠時無呼吸症候群」
最適な睡眠時間は?
ぐっすり眠るという言葉どおり、それが質の良い眠りです。人は何時間眠ればよいかという疑問がありますが、一番大事なことは、その人が気持ちよく目覚め、その日一日中爽やかな気分でいられる睡眠時間でしょう。
短時間睡眠者
6時間以下の睡眠で十分であったと言われているナポレオンやエジソンなどがその代表。性格は外交的で自信家が多いと言われています。
長時間睡眠者
9時間以上眠らないと普通に生活できなかったアインシュタインなどがその代表。 彼は内向的ではありましたが、芸術センスがありました。
一般論では、脳をより多く使う人(物事をよく考える人)は、十分な睡眠を摂ることで脳を休ませる必要があります。
次回は、睡眠と夢 <夢のしくみ編>をお届けします。